文化財防災ネットワーク

CH-DRM Network,Japan

National Task Force for the Japanese Cultural Heritage Disaster Risk Mitigation Network

国際専門家会合「文化遺産と災害に強い地域社会」東京戦略会議結論文書

国際専門家会合「文化遺産と災害に強い地域社会」の東京戦略会議における結論文書を掲載いたします。
英文結論文書(PDF)
※和文については準備中です

要旨は以下のとおりです。(文化庁文化財部 下間久美子文化財調査官のまとめによる。)

【基本となる考え方】
○文化遺産は、地域社会の災害対応力の源となるものであり、計画や被害軽減、災害時対応、復旧等のあらゆる面で地域社会を助けるツールとなる。
○この場合の文化遺産には、不動産や動産、都市や景観、文書館や図書館の書物、無形(例:知識、伝統、祭礼、言語、技能)等、多様なものを広く含める必要がある。
○関係者も多様となるが、災害リスク管理の主体は地域社会である。
○文化遺産を通じてその土地固有の知識や考え方を良く理解し、何が人々の行動を動機づけ、協働を築く上で誰がどのような役割を果たしているかをよく認識しながら、協力や調整の手段を築く必要がある。
○災害は、ある自然現象に対する脆弱性が二次被害を複合的に招くことで惨事へとつながる(例:地震への備えの不足が火災や液状化、原発事故へとつながる等)。
○それ故、文化遺産と災害リスク管理は、現場規模から国際規模までのあらゆるレベルのガバナンスにおいて、一体的に取り組まれる必要がある。
○また、災害関連の事業や活動に、文化に対する配慮と情報が行き届いたアプローチを普及させる必要がある。
【優先事項1:災害リスクの理解のために】
文化が人々の活動に与えている影響、文化の移り変わりと災害リスクとの関係性、災害リスクの理解における伝統的な知識体系の有用性、伝統的な建築技術と災害リスクの軽減の関係性等に係る領域横断的な学術研究の実施が必要である。
【優先事項2:ガバナンスの強化のために】
関係する分野との専門用語の相互共有、災害後のニーズ評価(PDNA)の実施、関係する専門性の資格や認証の促進、ネットワーク支援(例:ブルーシールド)等が必要である。
【優先事項3:災害リスク軽減のために】
知識普及のためのソーシャル・ネットワークの改善、財政援助や税制優遇、参加型アプローチの促進、教育関係機関による人材育成プログラムの提供等が必要である。また、文化遺産を包含、収蔵、展示する土地や施設が面している災害リスクの認識を促進する必要がある。
【優先事項4:効果的な災害対応のために】
女性や先住民のエンパワメント、学校プログラム改善等による災害管理プロセスへの子供の参加、ネットワークの設立と強化、災害後救援活動における文化遺産専門家の参加、過去の災害の記憶の保全、文化遺産及び文化関係機関に関する目録作成と情報システムの構築、災害復旧のための文化的観光の重要性の認識とその促進、予防的考古学による復旧・復興への貢献等の必要がある。