文化財防災ネットワーク

CH-DRM Network,Japan

National Task Force for the Japanese Cultural Heritage Disaster Risk Mitigation Network

理事長ごあいさつ

 文化財防災ネットワーク推進事業は、平成23年3月に発生した東日本大震災における被災文化財等救援委員会の2年間に及ぶ活動(文化財レスキュー事業)を基盤として、今後発生が予想される大規模地震などの災害に備え、文化財の防災に関するネットワークの構築を目的とした事業です。平成26年7月に文化庁の補助金事業としてスタートし、独立行政法人国立文化財機構に推進本部を設置して活動を進めています。
これまでの5年間の活動では、広く国内の博物館・美術館・図書館・文書館等で組織される団体や、地域史料ネットワーク、各種学会等の24団体の参画を得て、文化遺産防災ネットワーク推進会議を組織し、ネットワークの構築と連携体制の拡大・強化に努めてきました。
各参画団体は、それぞれの専門性や組織力を活かして防災対策を練り、被災地への支援に取り組んでいます。推進会議は定期的に会議を開催して相互の意見交換や連絡調整を図っていますが、個々の参画団体に集まる情報を速やかに全体で共有できるように、現在、「文化遺産防災ネットワーク推進会議活動ガイドライン」の策定を進めているところです。

本年4月に施行された改正文化財保護法では、地方公共団体が策定する「文化財保存活用大綱」や「文化財保存活用地域計画」の中に、文化財の防災や災害発生時の対応方針の記載が求められるなど、文化財の防災に関する取り組みの重要性が増しています。
不幸なことに本事業発足以降も自然災害が相次ぎ、地震や台風、豪雨による災害が日本の各地を襲っています。さらに、フランス・パリのノートルダム大聖堂の火災事故を例にあげるまでもなく、国内における歴史的建造物や博物館・美術館の火災事故に対しても、防火のための十分な備えをしておく必要があります。私たちは、文化庁をはじめとする関係機関との連携・協力をさらに深め、文化財防災ネットワーク事業の推進・強化に取り組んでいく所存です。

我が国の大切な文化財を未来に護り伝えるために、皆様方のご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

令和元年 8月
文化財防災ネットワーク推進本部長
(独立行政法人国立文化財機構理事長)

松村 恵司