文化財被災時対応について

文化遺産に係る防災及び災害時の連携体制は、
  • 都道府県内連携体制
  • 都道府県間連携体制(広域連携)
  • 文化遺産に係る専門的な全国組織等が集まったネットワーク
の3つに大別することができます。災害時は、まずは1.若しくは2.の中で対応するのが理想ですが、対応できない場合は3.に支援を求める必要が出てきます。
この「災害時対応ガイドライン」は、3.に分類される「文化遺産防災ネットワーク推進会議」の参画団体等が支援要請に対してどのように情報共有を行い、連携するかという基本方針を記しています。
平成23年3月に発生した東日本大震災で被災した文化財を救出するために、文化庁の要請により「東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援委員会(事務局:独立行政法人国立文化財機構 東京文化財研究所)」が国立文化財機構をはじめとする13の文化財・美術関係の団体によって組織され、文化財レスキュー事業が実施されました。この救援委員会は、平成25年3月に2年間の活動に一区切りをつけて解散しましたが、平成26年7月から文化庁の文化芸術振興費補助金(美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業)を活用して文化財防災ネットワーク推進事業が開始され、令和2年10月より常設の後継機関として文化財防災センターが設立されました。
文化財ドクター事業は、東日本大震災を契機に開始されました。未指定の建造物も含めた、被災地域における歴史的建造物の被災状況の把握と、復旧に向けた技術的支援を行ってきました。東日本大震災の際には、平成23年度から平成25年度まで事業が進められ、のべ600名以上の調査員が4500件をこえる歴史的建造物の被災状況調査と復旧支援を行いました。平成28年に発生した熊本地震においても、文化財ドクター事業が発足し、のべ4100名以上の調査員が2000件をこえる歴史的建造物の被災状況調査を実施しました。