文化財防災センターでは、2023年6月30日(金)に「視聴覚資料の応急処置ワークショップ」を開催しました。今回は川崎市市民ミュージアムを会場に、市町村の文化財担当者や博物館・美術館の学芸員など12名にご参加いただきました。
午前の部では、令和元年東日本台風により被災した川崎市市民ミュージアムの被害状況やレスキュー活動について、館内各所を見学しながら講義をおこないました。現在も継続している被災資料の応急処置や保管状況を見学した際には、受講者から高い関心が寄せられました。午後の部では、映画フィルムや磁気テープの基礎知識を学びながら、水損した視聴覚資料の応急処置について実習をおこないました。トリアージの考え方、水洗や乾燥の具体的な方法、検査項目とその記録の取り方、補修作業など、応急処置の各工程を体験しながら、その理解を深めていただきました。最後に、川崎市市民ミュージアムにて実際に進められている映画フィルムと磁気テープのデジタル化について、講義と作業見学をおこないました。
受講者アンケートの結果、今回の研修内容については高い満足度が得られており、今後は事前の防災対策などについても学びたいという意見が寄せられました。当センターでは、今後も文化財防災に関する研修の充実化を図ってまいります。
【開催日時】令和5年6月30日(金)10時30分~16時30分
【会場】川崎市市民ミュージアム
【プログラム】
講義および見学① 川崎市市民ミュージアムにおける視聴覚資料の被災と現況
佐藤美子、村岡由佳子(川崎市市民ミュージアム)
講義および実習① 映画フィルムの取り扱いと応急処置
講義および実習② 磁気テープ(ビデオテープ等)の取り扱いと応急処置
講義および見学② 視聴覚資料のデジタル化
鈴木伸和(株式会社東京光音/特定非営利活動法人映画保存協会)
主催 :国立文化財機構 文化財防災センター
共催 :東京国立博物館
協力 :川崎市市民ミュージアム、特定非営利活動法人映画保存協会