• 地域防災体制の構築| 奈良国立博物館
更新日:2021年3月31日 00:00

【奈良博】地域防災体制の構築(中部・東海・北陸・近畿地区)

奈良国立博物館では、地域防災体制の構築を進めるため、当館が窓口を担っている静岡・愛知・三重・大阪・奈良の各府県を中心に、文化財保護行政の担当部署や博物館協会等との関係構築を進めている。

本年度は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大によって県域を越える移動を自粛する期間が生じたため、各府県に対する例年並の往訪は叶わなかったが、直接の対面を必要としない形態での事業の実施・活動協力を行った点に特徴を持つ。具体的には、京都国立博物館・奈良文化財研究所とともに、第3回中部・近畿文化財防災連絡会議を書面にて開催したほか(3月)、三重県環境生活部文化振興課主催のパネル展示「三重の⽂化資産を守ろう︕」に対する画像提供(1月・図1)、愛知県文化財保存活用大綱案中間まとめに係る意見照会に対する回答・助言(4月)などが挙げられよう。

また、感染症の流行拡大が小康を保っていた時期においては、文化財の防災に関する会議への参加や関係者との意見交換も行っている。例えば、三重県内で2日間に亘って実施された三重県文化財保護指導委員会議では「文化財防災のための連携体制構築の現状と課題」と題する関連報告を行ったほか(9月・図2)、8月には奈良県の橿原考古学研究所において、9月には開館の直後であった北海道の国立アイヌ民族博物館において、3月には東京国立博物館等において、文化財そのものの防災と地域防災体制の構築に向けた意見交換を実施した。

先述の通り移動や面会が制約され、時には各機関において出勤自体が制限される状況にあって、互いの顔が見える関係構築を目指す本事業は多くの困難に直面したわけだが、様々な工夫の中で、これまで培った関係性の維持が図れたと考える。次年度以降においても、社会的な状況を見極めつつ、地域防災体制の構築を進めてゆきたい。

三重県サイト「「三重の文化資産を守ろう!」パネル展示を開催します」へ